〜第七話 「地獄の才能」昼休み自由行動・図書室にて〜


【真里野】
 く…九龍か。
 今の時間は《昼休み》だ。我々生徒が、自由に過ごすことができる時間帯である。
 拙者は、本を読みたいと思って図書室へ来たわけだ。本当に、ただそれだけだ。
 別におかしなことではなかろう……?


『友』

【真里野】
 う、うむ、そうなのだ。拙者は本を読みたいだけなのだ。
 それ以上でもそれ以下でもない。ただ無心に本に没頭したいだけなのだ。
 本当にそれだけなのだ。わかったか?

『燃』

【真里野】
 う、うむ、そうなのだ。拙者は本を読みたいだけなのだ。
 だから、お主も騒がず、静かにしていてほしい。
 そうしないと、彼女が……。
 あッ、いや、なんでもないッ。とにかく、図書室では静かに過ごすべきなのだ。
 わかったな?

『喜』

【真里野】
 なッ、何故にそのような表情をする……!?
 拙者は本を読みたいだけだ。それ以上でもそれ以下でもないッ。
 それが、ここにいる理由だ。わかったか!?

『愛』

【真里野】
 なッ、なんだ、その表情は……!?
 拙者は本を読みたいだけで、それ以上でもそれ以下でもないッ。
 わ、わかったかッ。

『憂』

【真里野】
 なッ、何故にそのような表情をするのだ!?
 拙者は本を読みたいだけだ。それ以上でもそれ以下でもないッ。
 それが、ここにいる理由だ。わかったか!?

『悲』

【真里野】
 なッ、何故にそのような表情をするのだ!?
 拙者は本を読みたいだけだ。それ以上でもそれ以下でもないッ。
 それが、ここにいる理由だ。わかったか!?

『寒』

【真里野】
 別に関心はない、と?
 そうか、それならば別に構わん。

『怒』

【真里野】
 こ、こらッ、そんな大声を出すんじゃないッ。
 そうしないと、彼女が……。
 あッ、いや、なんでもないッ。とにかく、図書室では静かに過ごすべきなのだ。
 わかったな?

『無』

【真里野】
 ……なんだ、聞いていなかったのか。
 それならば、それで構わぬ。